2025年度 代替タンパク業界の展望

GFIグローバルインサイト

新年が明け、早くもひと月が経ちました。

GFIグローバルネットワークの専門家による2025年の代替タンパク業界の展望(英語)が公開されました。

2024年、代替タンパク業界は多くの成功を収めました。長年にわたり準備されてきたマイルストーンの達成や、新たな市場の開拓が進む一方で、予想外の展開も見られました。

本記事では、日本をはじめアメリカ、ヨーロッパ、APAC、ブラジル、イスラエル、インドなど、世界各国のGFIリーダーが、各地域の政策・市場動向・技術革新の見解を共有し、2025年の展望について考察しています。以下に、各国の主要なインサイトを紹介します。

米国 – バイオマニュファクチャリングの拡大と地域バイオエコノミーの発展

政府のバイオ経済推進により、食品バイオマニュファクチャリングが急速に成長。農業、スタートアップ、科学技術の融合が加速し、新たな雇用とイノベーションを創出が期待されます。

欧州 – 発酵技術の進展と規制支援の可能性

ドイツのInfinite RootsやフィンランドのEniferなど、発酵技術を活用した食品生産企業への投資が活発化。新たな研究センター設立も進み、EU委員会のバイオテクノロジー法(Biotech Act)が業界支援の鍵となる見込みです。

アジア – 細胞性食品の規制承認が加速し、新市場開拓へ

2025年には、韓国やオーストラリア/ニュージーランドで初の細胞性食品市場承認が期待されます。タイやマレーシアでも規制整備が進行中。シンガポールでは”ハイブリッド”タンパクの研究が活発化し、新たな製品開発の動きが加速しています。

ブラジル – 気候変動対策としてのオルタナティブ・プロテイン

ブラジル開催のCOP30を控え、代替タンパクが気候変動対策の柱として注目されるでしょう。気候資金の拡充と政府支援の強化により、持続可能なタンパク質生産が推進される可能性が期待されます。

イスラエル – 菌糸体発酵とB2Bディープテックの台頭

微生物を活用した菌糸体(マイセリウム)発酵が、新たなタンパク質供給源として注目。さらに、AIによる食品開発や原料改良などのB2B向けテクノロジーが進化し、既存の食品産業との統合が進む見込みです。

インド – 農業資源と科学技術を活かした「スマートプロテイン」戦略

高い農業生産力と科学技術人材を活かし、代替タンパク産業の成長を加速。政府主導で栄養改善プログラムに組み込む可能性もあります。

日本 – 取り組み目標とエコシステム構築

2024年末に設立されたGFI Japanは、今後の活動基盤をしっかりと築く段階にあります。GFIのグローバルなネットワークとリソースを活用し、本年度は、日本国内の組織体制を確立するとともに、学術機関、政府機関、業界団体との連携を強化し、代替タンパク分野の科学技術エコシステムを発展させることを目指しています。

その一環として、日本に特化した政策提言の策定を進め、日本の研究開発エコシステムを強化し、競争力と国際協調を高めることに取り組みます。また、国内の研究者の皆様と協力し、細胞農業学会の設立、学術連携の促進、異分野協力の促進を進めてまいります。さらに、日本各地のステークホルダーと協力し、首都圏から地方まで幅広いエンゲージメントを図りながら、信頼関係を築き、業界の成長を支える基盤づくりを行います。

GFI Japanは、国内外の動向を踏まえ、気候変動、食料安全保障、グローバルヘルスへ直接的に貢献する世界の代替タンパク業界の発展に、日本から貢献します。


Alt Protein Planetでは、GFIネットワークの最新インサイトを不定期にお届けしています。ぜひご購読ください。

原文:How to build a thriving alt protein ecosystem in 2025 by The Good Food Institut

Read on Substack